旅の中の旅

1.はじめに

旅の中の旅といったら、まず外せない小説があります。

あなたのSNS旅記事は

「おいしー」「きれー」「さいこー」

の連続になっていませんか。

旅人になりたいと日々言ってる人。

ここまでの覚悟はありますか。

 

百年文庫 20 掟 収録

ジャック・ロンドン 『焚火』

 

 

掟 (百年文庫 20)

掟 (百年文庫 20)

 

 

2.この本をどう読む

極地、極限とはどういうものか。

伝わります。

凍てつく手を叩きつけて血行を感じる。

最後は飼い犬に対し究極な選択をする。

ぜひ読んでみてください。

旅の認識が変わること間違いないです。

 

3.おわりに

この本にはバルザックの作品も収録されています。

この作家も外せないのでぜひ読んでください。

バルザックは幼少期、牡蠣の密漁をしていたとなにかの文献で読んだことがあります。

壮絶な幼少期がこのような文章を書かせるのでしょう。

機会があれば、自分の本棚をあさって詳しく説明します。

おわります。

 



 

品の良い下の話

1.はじめに

品の良い下の話、したくはないですか。

バッチリな本があります。

 

ロナルド•ダール 『来訪者』収録

『すばらしきかな、スワッピング』

 

 

来訪者

来訪者

 

 

 

2.引用

「一緒に昼飯を食ったその男というのが 、近所に住んでいる友達の奥さんと寝たくてたまらなかったんだそうだ 。しかもその友達というのが同じように彼の奥さんと寝たがっていた 。わかるかい ? 」

 

このような会話をきっかけに、ある計画が開始されます。

計画の準備は用意周到。

そしてその落ちは?

読者の期待を決して裏切らないものです。

パートナーとのコミュニケーションに。

気の知れたグループ内での会話に。

気になる人とくだけるための材料に。

深酒をした夏の夜にぴったりです。

ぜひ読んでみてください。

 

 

3.おわりに

おもしろい作品がが収録された短編集なので、他の作品もおすすめです。

ちょっと雰囲気のある下の話ができることうけあいです。

おわります。

悩んだときには

1.はじめに

悩んだときには、この本を読んでください。

私はそうしています。

私にとって大切な本になっています。

紹介するのは、

村上春樹パン屋再襲撃』です。

 

 

パン屋再襲撃 (文春文庫)

パン屋再襲撃 (文春文庫)

 

 

 

2.この本をどう読む?

「長い間、心にひっかかっていることは案外簡単に解決できることなのかもしれない。」

そう思わせてくれる本です。

 

作品を通して、

きっかけを与えてくれる他者

助けてくれる他者

の大切さを痛感することもできます。

ぜひ読んでみてください。

心がすっとするはずです。

 

 

3.おわりに

長期の出張中でブログを更新しました。

なんとか続けていこうと思います。

材料は完全に記憶のみです。

記憶に残っている本なので、自信を持ってお勧めできます。

読んでくださっている方々に向けて、なんとか更新を続けていきます。

今後もよろしくお願いします。

おわります。

旅の手荷物に本を

1.はじめに

『旅』の手荷物のなかに『本』

旅にいっそう雰囲気がでます。

SNSにあげても、センスの良さが際立ち、差別化ができるでしょう。

(いいね10件増が見込めます)

今日は、アーネスト・ヘミングウェイの誕生日。

彼の作品を取り上げます。

 

ヘミングウェイ短編集 (1) (新潮文庫)

ヘミングウェイ短編集 (1) (新潮文庫)

 

 

 

2.引用文 

  ヘミングウェイ短編集(一) 心が二つある大きな川(一)・(二)

 

荷物の重みが肩の上部にかかるようにすこし前かがみになって、・・・線路と平行な道を歩いていった。

 

 重い荷物のために肩に痛みを感じながら、彼はその道を歩いた。道はずっと登り坂がつづいていた。坂道を歩くのはつらかった。筋肉が痛み、暑さもひどかったが、ニックは楽しかった。考える必要も書く必要も、そのほかのどんな必要も、何もかも背後に捨て去ってきたのだ。

 

丘の端に立って、遠くの川のほうまで、あたり一帯を見渡してから、道からそれて山腹をくだりはじめた。足の下の土は歩きよかった。

 

 

盛りあがった森林のなかには、下ばえががまったくなかった。松の幹は、まっすぐのびているか、たがいによりかかるように傾くかしていた。 

 

ニックは荷物をおろして木陰に寝ころんだ。仰向けに寝て松の木立を見あげた。からだをのばすと、首や背中や腰の筋肉がゆるんだ。背中にあたる大地の感じが気持よかった。

 

テントの開いた入口に蚊よけの寒冷紗を張った。包みからとり出したいろんなものを持って、蚊よけの下をくぐって中にはいり、それをテントの傾斜の下にあたる寝床の頭のところへおいた。テントのなかには、茶色のズックごしに明かりがさしこんでいた。ズックのにおいが気持ちよかった。これだけで、なにか神秘的な、くつろいだ気分になった。テントに這いこむと、ニックは楽しかった。

  

手早くそば粉に水をまぜて、よくかきまわした。そば粉がコップ一杯に、コップ一杯の水だ。罐から脂のかたまりをすくって熱くなったフライパンに落とすと、じゅうじゅう音をたてた。煙の立っているフライパンに、練ったそば粉をそっと流しこんだ。 

・・・こねたそば粉を全部使った。それで、大きなのが一つと小さいのが一つできた。

 

一匹ばったが瓶から頭をつき出した。触覚がゆれた。・・・ニックは、頭をつかんで手に持ち、顎の下に細い釣り針を刺し、胸から腹の最後の一節まで通した。ばったは前脚で釣り針をつかみ、たばこのやにのような汁を吐き出した。

 

ぐいと長い引きがきた。ニックは身がまえた。竿にいのちが通い、折れんばかりにまがった。・・・

圧力を加えると、糸が突然ぴんと張って、丸太の向うで、おそろしく大きな鱒が水面高く跳ねあがった。・・・テグスが切れていた。糸にすこしも弾力性がなくなり、柔軟性をうしなって固くなるとき感じに間違えなかった。

口がかわき、がっかりした思いで、ニックは糸を巻いた。

 

彼は何か読むものを持ってくればよかったと思った。本を読みたい気持ちになった。・・・彼は川下をながめた。

 

 

3.おわりに

物語に自らを投影しながらの旅を。

非日常を。

楽しんでください。

終わります。 

利き本をしてみて

1.はじめに

「本を読みなさい。」「本を◯冊読む」

という言葉がちらつきはじめる頃でしょうか。

そうです、もうすぐ夏休みです。

こんな時期にもってこいな作品を紹介します。

「利き本」をして、休みにいつもとは違った彩りをもたせてください。

 

 

2.今回の本

取り上げるのは、レイモンド・カーバーです。

 

①バースデイ・ストーリーズ収録

  『風呂』

②Caver's dozen レイモンドカーバー傑作選収録

 『ささやかだけれど、役にたつこと』

 

を読んでください。 

ショートバージョンが『風呂』 

ロングバージョンが『ささやかだけれど、役にたつこと』

となっています。

 

バースデイ・ストーリーズ (村上春樹翻訳ライブラリー)

バースデイ・ストーリーズ (村上春樹翻訳ライブラリー)

 

 

 

 

Carver's dozen―レイモンド・カーヴァー傑作選 (中公文庫)

Carver's dozen―レイモンド・カーヴァー傑作選 (中公文庫)

 

 

3.読み方

強く勧めるのは先に『風呂』を読むことです。

その次に、『ささやかだけれど、役にたつこと』を読んでみてください。

読んでみてわかるのは、リヤルに情景が浮かぶということです。

「心の痛み」「叫び」「湿った疲弊」「血が引いていくようなあの感覚」

をも感じることができます。

気づけば、物語に入り込んでいるでしょう。

2作品、終末がまるで違っています。

短くない期間、余韻にひたることができると思います。

まだまだ感想を書きたいところですが、これから読む人の邪魔になりかねないのでこのくらいでやめておきます。

感想をしゃべりたくなることうけあいなので、ツイッターにて感想お待ちしています。

 

彩りある夏休みを。

終わります。

 

おざなりにはできないこと

1.はじめに

更新が遅れました。

ある短編小説をどうしても紹介したかったからです。

結局、見つからずじまいでした。

たとえ不完全でも、ブログに残したかったので書きます。

 

2.本日のテーマ

「理想を求める」を考える

先日、フィンランドに旅行に行きました。

ヨーロッパの人々との会話を通して、「気づき」がありました。

 

ヨーロッパ人は将来の展望を理想のライフスタイルというところまで落とし込んでいるということです。将来の職業で留まらず、実に具体的であるという印象を受けました。

自国に理想のライフスタイルがない場合、平然と国境を越えていく。

それが、自然な選択なのです。多数派、主流な選択なのです。

日本とは大きな違いがあると思いました。

理由を考えると、まずは「言語の壁」がある。

しかし、それだけではないと確信しました。

日本には新しい価値観、合理性の侵入を拒み、防ぐものが確実にあると。

それは、伝統、文化、しきたり、義理と呼ばれるものです。

異文化と片つけて、取り合わないのも正しい。

気づかないふり、本当に気づかないのも正しい。

理想を国内、国外に求めても正しい。

わたしは理想を追い求めていく決意を新たにしました。

日本の制度への疑問が湧き上がり、何かが燃え上がりました。

しかし、その時、一つの短編集が記憶の片隅から浮かび上がってきました。 

 

3.あらすじ

作者はサマセット・モームだと記憶していますが、これもさだかではありません。

記憶をたどって説明します。

 

主人公の少年は日々の生活が退屈で嫌気がさしています。

日に日に、冒険に対する欲求が膨らんでいます。

ある日、冒険に出ていた兄が家に帰ってきます。

服はボロボロで、精悍な体つき、顔とは言えないものの少年は兄を尊敬の気持ちで眺めました。

兄の話は大変面白く、少年の冒険への憧れはさらに強くなっていきます。

そして、少年は父、母、兄に冒険に出たい気持ちを相談します。

父、母は冒険に出ることを反対します。

父と母は、辛い道をわざわざ選ぶことはない。あるべき姿を話して諭します。

兄は賛成します。兄は止めることができないことだと理解しているからです。

父と母に寂しい思いをさせることになるとだけ教えます。

結局、弟は出発することを決意し、早朝に兄の部屋に来てこう言います。

「行くことにする 港まで送ってくれないか」

兄はこう言います。

「一人で家の門を開けて、一人で塀を越えていかなければいけないよ」

 

補足

作品名がわかる方がいらっしゃればご連絡ください。

やれやれな朝に変化を

はじめに

想像してください。

出勤して、朝礼。

変わることのない朝。

ヘドが出そうなやれやれな朝。

 

目はうつろ、体はたるみ、見るに堪えない社員。

個性は消え、立っていろと言われればいつまででも立っていることでしょう。

 

こんな職場に、3分間スピーチという気まぐれな取り組みがはじまった。

一筋の光を差し込むためには、村上春樹の紹介しかない。

私はこう思った。

 

 

3分間スピーチ全文

 ハルキストからの村上春樹紹介

 まず、ハルキストの定義を調べてみました。ネット社会にはさまざまな定義が溢れていました。ちょうど中間をとってまとめると、「村上春樹の本を読破しており、なんらかの影響を受けている人」ということでまあいいようです。私は、村上春樹氏の作品を読破してから3年ほどが経過しているし、新書が発売されれば当然購入しています。

 頭の中にとどまらず、無限に広がる情景、心を鷹の爪で掴まれたかのような心情、そういった描写に出会うと背筋がゾクゾクします。また、これからの話を聞いていただければ、村上氏の本から影響を受けていることがわかると思います。(いま話しただけで充分伝わったかもしれませんが。)

 このことから、私はハルキストと名乗る資格は充分にあるようです。

 

 さて、本題にはいります。

 今日の発表の狙いは、ハルキストの接近によるハルキストの獲得では決してありません。ですから、喫茶店にいるようなきもちで話をきいていただけたらと思います。イメージのみが先行しがちな村上氏を違った視点からみるためのきっかけづくり、それがこのスピーチの狙いです。

 

 「村上春樹は大作家である」これに異論はないと思います。ここで言いたいのは、売り上げ部数ではありません。今なお国境を越えて次々と読者を増やしている事実です。これは非常に稀なケースです。唯一と言ってもいいかもしれません。これは村上氏の作品にあるテーマを読み取り、それをよりどころとする人間がいるという客観的な根拠になるはずです。

 客観的な根拠を示した上で、世でくだされている評価について考えていきます。(これがなければ、単なる熱狂的読者の話で終わってしまうので。)

 

 みなさんも一度は村上氏の評価を口にしたことがあるのではないでしょうか。

 評価として多いのは次の通りです。

 

 村上春樹は好きではない。意味がわからない。買ったけど読めなかった。

(こういいった評価の時に出てくる作品は『ノルウェーの森』最近の作品で言えば、『1Q84』が非常に多いです。)

 

 こういった評価を聞くと、「ああ、そうか。もったいないな。」とわたしは頭を抱えてしまいます。なぜなら、これらの感想はごくごく自然なことだとわかっているからです。村上氏の文章は分厚く、重く、複雑です。

 

 競泳選手が水中を進むように読み進めることはできません。光のない地中、硬い土を時間をかけて掘り進んだり、絡み合う木の根をくぐり抜けたり、時には後退の道を選択し、岩をよけて進む一匹のもぐらのように文章を読み進めなければいけません。

 

 どうすれば皆さんがもぐらになり、再び、あるいは新たに村上春樹という地中にもぐっていけるのか、この機会をきっかけに真剣に考えました。

 

エッセイに綴られた一節を引用するのが一番いいのではないかという答えがでました。それでは紹介します。

 

・・・僕の小説で語ろうとしていることは、ある程度要約できると思います。・・・「あらゆる人間はこの生涯において何かひとつ、大事なものを探し求めているが、それを見つけられる人はそう多くない。そしてもし運良くそれが見つかったとしても、実際に見つけられたものは、多くの場合致命的に損なわれてしまっている。にもかかわらず、我々はそれを探し続けなければならない。そうしなければ生きている意味そのものがなくなってしまうから」                  『雑文集』

 

人生の探しもの。見つかるかもしれません。

村上春樹の見方が少しでも変わっていただけたなら嬉しいです。

ありがとうございました。

 

 あとがき

発表後、どのような表情が見れたか、どのような声が聞けたか、どのような雰囲気になったのか。

また、私の会社での立ち位置。

それはご想像にお任せします。