安倍公房の強いメッセージを受け取る

はじめに

二回目は安倍公房を取り上げます。

ノーベル文学賞候補になったといわれる小説家であり、愛人から暴露本を出された小説家でもあります。

ヌードページが1ページのみあるので興味のある方はみてください。

大変にきれいな女性です、文章は良くありませんが。

 

 

砂の女 (新潮文庫)

砂の女 (新潮文庫)

 

 

 

友達・棒になった男 (新潮文庫)

友達・棒になった男 (新潮文庫)

 

 

 

笑う月 (新潮文庫)

笑う月 (新潮文庫)

 

 


読み方

一貫性を読み取ってください。

いくつか引用します。

 

以前、友達と、面白い賭をしたことがあるんだ。・・・赤絵の具を塗って死んだふりをしていたら、何分以内に介抱してもらえるかって・・・友達は十分以内、ぼくはそれ以上に賭けて・・・

想像つく?ぼくが、どれくらい死んだふりを続けなければならなかったか。

・・・・六時間二十五分さ、信じられないだろう。でも、十分、千円の賭だったからね、やめるわけにもいかないじゃないか、六時間、二十五分・・・ひでえ話さ。

(別の登場人物)もうかってけっこうでした。

取り違えちゃいけない。たったの三万九千円だよ。ぼくが絶望したのは僕が勝ったという、その事実に対してさ。

                      『友達・棒になった男』

 

太陽にみたされた夏などというものは・・・小説か映画のなかだけの出来事にきまっている・・・誰もがそんなことは百も承知でいながら、ただ自分を詐欺にかかった愚かなものにしたくないばっかりに、・・・せっせと幻の祭典のまねごとを塗りたくるのだ。

 

自分をぼろ屑のようだと感じ、孤独な自虐趣味におちいるか、さもなければ、他人の無軌道を告発しつづける、疑い深い有徳の士になりはてる。

 

欠けて困るようなものなど、何一つありはしない。幻の煉瓦を隙間だらけにつみあげた、幻の塔だ。・・・要するに、日常とは、そんなものなのだ・・・誰もが無意味を承知で、わが家にコンパスの中心をすえるのである。      

                                     『砂の女

 

作品をあげると

『笑う月』収録の『たとえば、タブの研究』『鞄』

短編なので読んでみてください。

できれば、『砂の女』も読んでほしいです。やはり引用文のみでは材料が不足します。

 面白いストーリー設定も伝えられていません。

 

最後に

なぜ読書をするのか?という問いに対し、

「自分がいる世界とは違う世界があることを認識するため」

「自己の考えと境遇の間にいい距離感を取るため」

とあり、頷いたことを覚えている。

安部公房の作品は、多くの人間が陥っている状態を鋭く表現する。

腰を砕かれる。

永久の命題とも思えるこの問題をたしかに認識する。打ち砕かれ、絶望する。

なんとか立ち上がり、自分の足で自分だけの道を歩いていく。

それができれば、前述の読書の意味に似てきませんかね。

まずは、どっぷり安部公房に浸かり、腰を砕かれてください。

2回目を閉じます。