一節をきっかけに

はじめに

紹介したい本がたくさんあります。

しかし、本を読むことを前提するにはまだ時間がかかりそうなので、引用での案内を続けます。

 

 

呪われた腕: ハーディ傑作選 (新潮文庫)

呪われた腕: ハーディ傑作選 (新潮文庫)

 

 

 

引用

 

 

しかし、羊飼いの少年がこれだけのことを推量できるまでには、なお数年の月日が必要であった。

                 『呪われた腕』トマス・ハーディ

 

前後関係を少し説明すると、

夫ある女が幼馴染と真っ暗な羊牧場で逢いびきをしています。

その様子を羊飼いの少年がじっと見ている。

また、なんと女の夫までもが見ている。

こういったシーンです。

 

 

今回のテーマ

引用文をきっかけに考えて欲しいのです。

羊飼いの少年が思ったことが、自分の過去にないか。

この仕事を選んだのが良い選択でなかったことがわかった。

あの時、あの人と結ばれるべきであった。

親孝行をすべきであったでもいいでしょう。

私は、妙にリアルなことが思い出されたので、紹介させてください。

 

回想

中学生の頃のある友人たち。

市選抜の駅伝メンバーであったため、他中学の4人と親交があった。

4人は入学試験のある、私立の中学校に通っていた。

4人は県内1の進学校に進み、陸上以外の部活を選んだ。

私はスポーツ校への進学を決め、陸上部で青春の汗を流した。

 

高校3年生になり、進学先が決まって集まることになった。

2人が高学歴と言われる大学に合格した。2人が浪人生となった。

うち一人は東京大学の試験に敗れた。もう一人は早稲田大学

私は並の大学に合格した。

 

高校3年生の春休み。

髪を染めたり、着慣れない私服を着て、飲酒をしたい時期である。

5人が久しぶりに集まることに。

東京大学を目指すため浪人を決めた友人宅で飲酒をすることになった。

 

缶チューハイを買い、スナック菓子をつまみに飲みはじめた。

23時をまわって手作りブラウニーが出てきた。

24時をまわって布団が敷かれた。

25時をまわって家計簿をつけていた。

朝食はウインナーとサラダが準備されていた。

 

あとがき

今考えると、25時をまわっても家計簿をつけていたのは、未熟な私達がふらっと外に出ないかを見守るためだ。

嫌な顔一つせず、むしろお酌をしながら楽しんでいる顔がよみがえる。

表現のできない感情になる。

過去を回想させ、考えさせる。将来に向かい、考えがかたまる。

これも本の力の一つだと思うのです。